2009年3月24日火曜日

FLY WITH ME 001--

今日、はじめて飛ぼうとしている。バクバクする心臓が、口から飛び出しそうだ、なんて、この期に及んで、とても申し上げられる状況じゃあない。
気がつけば、地上4000メートル。次々舞い降りる勇士たち。眼下には、猛烈な気圧を受けて花開いていく落下傘。まるで、中空に漂うクラゲ。
おうっぷ。喉元まで込み上げて来た心臓を飲み込んで押し戻すものの、肝はまだ座らずに、体内を落ち着かないまま、うろうろと。五臓六腑が、あやふやに腑分けされたようで、あべこべにおしゃべりしている。気持ち悪い。
大地に挑む、弾丸ライナー。おい、これ、飛ぶんじゃなくて、落ちるんだろ。頼む、誰か、手をつないでくれ。震えているこの姿をさらしても、今、このとき、いっしょに、いてくれないか。共に、落ちていこう。いや、飛ぶんだ。きみとなら、飛べる! I can fly !! 空中分解も怖くない。
このエアに身をさらして、瞬間的な自由とスリル、大地に依って立つ者の常識を超えて、砕け散る思い、意識、涙、回想、人格、一切を散華させよう。
生きている。まだ生きている。手をつないで、こうして共同、やがて鼓動をシンクロさせて、一体となる時を待つ。宙空に溶ける、かつてない気流となって、大地を取り巻いていけ。
奏でる音楽は、光速で地球を原始に巻き戻す。はじまりのとき。新生の青が見えたら、そこが到達点。はじめてのジャンプは、なにもかも原初に還すんだ。無音。静寂の彼方へ。無意識にカウントする唇。日差し遮る、掌の隙間を覗く。この肱を信じろ。
さあ、踏み切って。今日が、はじまった。