ひとは、涙雨だという。
篠を乱す本降り。わたしの心にも、雨季が訪れる。
窓から眺める、暗い街並みが、上から流されるようにしながら、明かりの軌跡をくゆらせる。
さめざめとした、これは女の情念なの。
待ち続けても、裏切られる、契りのかけらすら、今は残っていなくて。
問い質しても、虚しく溶ける、曇り空の霞の中。
全て洗い流せはしない、張り付いた微かな温もりが、明け方の時刻に紛れて、秒針を引き留める。
雨音。目を瞑っても、胸の内に反響して、静まることを許さない。
このまま雫を伝って、天に還りたい。
奪われた光明を、あの雲の向こう側に求めて。
わたしひとりでも、架け橋をつくる。わたし自身が渡っていくための、虹色の天の大橋を、やがてあなたの袂まで届けるために。
しとしととした、未練が消えない。でも、わたしだって、晴れ間を覗きたい。
傘は、もういらない。雨上がりには、きっとダンス。水たまりを弾けさせて、そこここに小さな虹をつくる、軽やかなステップ。
陰鬱な雨を、ミュージカルみたいな演出に変える魔法。
やあ、すべてはただの思い過ごし。止まない雨は、ないんだね。
ずぶ濡れになって、なんだか心から笑えるようになった。