白夜なのか。
白々とした層のさらに上空に留まる夜の帳。遥かに、星屑は凍えるように瞬く。
まだ、降りてこない。
地上には、イルミネーションに交わるイリュージョン、音が溢れている。ここもやがては雪深い晦に埋もれて、いつかすべては嘘のように静けさに包まれる。
このときを駆ける人よ。幾億かの想いを運ぶ一夜、それを気まぐれに照らす月よ。奇跡を待ち、祈り、灯りを絶やさぬ営みよ。
吹雪くことない密やかな深夜、煌煌と照らされたあまりにシルエットしか見えない運び人。でも、軽やかに笑いながら、信じて穏やかに眠る夢枕に、そっと幸せをもたらすという。
ささやかなことでも。
雲は流れず、雪は舞い降りない。待つ耳に届くのは、不思議の鈴の音。青白い澄んだ空気の中、夜通し駆ける音も、朝になればいつもの喧噪に消されて。心の中には、裏切らない魔法が宿っている、そんな平常とは少し違う目覚め。その朝のダイヤモンドダストは、幸せを運んだ人がそこを駆け抜けた証。
握る手には、小さくとも温かな思いやりが届いている、そんなワンシーン。