2009年5月18日月曜日

FLY WITH ME 009--

過去に戻ることは、叶わない。
グラスに、蛇口から流れる水を注ぎ落としながら、あふれるたびにひっくり返す。
止まらない、流れのままにしばらく受け止めては空に戻し、と虚ろな動作を繰り返す。機械的に、まるで鹿おどしのように。
流れ行く水流を、水底まで這うように追いかけて、渦を巻いて吸い込まれるまでを見極める。流れていく、その様だけを、時間があれば、いつまでも眺めていたい。
これは僕の儀式。
締めくくりに、グラスいっぱいの水を飲み干して儀式を終えると、すぐに着替えて車をとばした。溢れるような想いがこみ上げてきて、いてもたってもいられない。
謝らなくては。やっぱり、この関係は壊したくない。
真夜中のハイウェイ。暗闇に流れる光も数少ない。アクセルを踏むと、時間が流れ落ちる。こぼれていく時間は、そのままま受け止められない僕の心の隙間から、みるみるすり抜ける。いけない。夜が明ける前には、辿り着きたい。
今、誘導灯のようにして、いくつものオレンジの球体が僕を運ぶ。真夜中の滑走路。流れ出したままにしないために、上を向いて、星空の彼方へ。
ならば、未来へ進もう。そのために、地球の回転が加速度を増した。